14日目 ネコノミとスニーカー
昨晩、寝る前にネットで息子の症状を調べるうちに、とびひじゃないかと思い始めた。調べれば調べるほど疑惑が深まっていき、夢中で検索していると、息子が足を掻きながら泣いて起きだした。一度はワセリンを塗ってなんとか寝鎮めるも、数十分後にはさらにボリボリ掻きむしり、一旦痒さに火がつくと、気がすむまで掻かないといられない様子。
足を掻きむしる息子を抱っこしながら自分に言い聞かせるように、大丈夫大丈夫と何度も囁く。明け方まで息子の足をさすっていたのだけれど、気がつけば息子も私も眠りに落ちていた。
朝8:30起床。
ごはんを食べて、チェンマイラム病院へ向かう。入り口でとびひだと思う、と伝えると案内のおばさんが別棟の小児科に連れて行ってくれた。小児科病棟はよもや病院とは思えないようなスペーシーな空間になっていて、入った瞬間はしゃぎだす息子。
通された診察室には若い女医さんがいて、すぐにペットの有無を聞かれた。ホステルに猫がいますと答える。それより、とばかりに女医さんにとびひの可能性を尋ねてみるも、とびひではないと断言されてしまった。何度か食い下がって訊いてみたけれど、自分はアレルギーの専門医でかなり強い確信を持っているとおっしゃったので信頼することにした。出た診断はInsect Bite。またも明確な答えをもらえずモヤモヤしたけれど、今回はあの女医さんを信じようと、薬の指示も事細かに聞いておいた。
その足でお昼ごはんを食べに行って服薬。ステロイドと抗生物質と抗ヒスタミン薬のフルコース。息子は副作用と昨夜の不眠ですぐに眠ってしまった。
お昼寝の間に、私は汚くなった息子のスニーカーを洗うことに。歯ブラシでゴシゴシとこする度に汚れが落ちていく様子を見ていると、色んなことが頭に浮かんでは消えていく。旅に対する自分の驕りを反省し後悔し、対してその非力さにあきれ返るしかない。ふと今日の病院でのやり取りを思い出しているうちに、女医さんに尋ねられたペットの可能性のことが気になり始めた。もしかしてと思い靴を干した後、ノミについて調べてみる。「ネコノミ」というノミの一種に行き当たってから、症状も時期も咬まれ方も、点が線になるようにつながり、これだと確信した。
間違いない!ネコだ!
ヨウコさんに連絡して三度、宿を変える相談をする。すぐ迎えに来てくれるとのことだったので、荷物をまとめ、検索して一番目に出てきたニマンヘミンのBaan Din Kiというホテルへ。迷いながら着いてみると、なんとこれがセントラルデパートの上にあるホテルだった。
快適なツインのシングルベッドのお部屋。薬の効果で痒みもおさまり、息子はぐっすり。私もこれまでの張り詰めた神経が解けるように、眠りについたのだった。
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